看護師がパワハラ上司に悩んだ時の対処法

退職理由で最も多いのは「人間関係」
「人付き合いを辞めれば、人生の大半の悩みは解決する」と、ある偉人も言っていた。
そう言われてみれば、そうかもしれない。
しかし看護師は、人間関係で成り立っている仕事だ。
パワハラやいじめは当たり前のようにある。
私自身パワハラで退職を経験した。
今回はそんなパワハラの話を、同じくパワハラで転職した友人(しかも同じ人物から!)の話を交えて、自分の経験も語ってみたい。
看護師の友人
彼女とは新卒からの同期。この同期は、回復期のリハビリ病棟に配属され「スキルが身に付かない」と不安がっていたけど、勉強会を開くなどして楽しくやっているように見えた。
でも悩みはあったようだ。
特にひどかったのが医師からのパワハラ。
・暴言
・大勢の前での叱責
・人の話を聞かない
・無理な要求をする
・無視
小さなミスに「こんなこともできないのか!?」と大声で怒鳴られたり、カルテの内容を確認に行っても質問に答えてくれなかったり、いつも通りの業務のはずが「私は指示してない!」と怒り心頭で問い詰められたり。
先輩からは「あの人はそういった人だから気にしないで・・・」と慰められたそうだが、どうしても耐えられず師長にも相談。
でも師長からは「先生は受け持ちが多くてストレスが溜まっているみたいだから。患者さんを減らす話もあるし、もう少し待ってみて」と。
その後も面談で何度か悩みを打ち明けるも、状況が変わることはなく。
特に同期を悩ませたのは、カンファ中の公開叱責。
医師は叱責の理由を「教育のため」と言っていたようだが、同期の精神はズタボロ。
その医師は、別病棟の私でも知っている、院内でもキワモノのとしてかなりの有名人だった。
特に看護師からの評判は最悪。
過去にはストライキを起こされたり、裁判沙汰寸前にまでなったり、看護師が一斉に退職したり。
もちろん病院側からの処分もあったと聞く。
それでも医師不足のためなのか、簡単に解雇できない状況なのだろう。
その医師が心を改める気配はなく、それどころか誰も反抗できないのをいいことに「俺の病棟には誰も口出しさせない」という雰囲気に。
(他の医師からも「あの人は独裁者だ」と不満が出るくらい)
同期は退職を考えるが、不安で一歩を踏み出せないでいた。
「こんなことで辞めたくない」
「逃げ癖がつきそう」
「次の職場もパワハラがあるかもしれない」
「まだスキル不足だし」
看護師になって3年。
確かに今辞めると、看護師としての将来に不安が残る・・・。
キャリアウーマンの友人
Facebookで知り合って、リアルでも仲良くなった友人がいる。彼女は私よりも8歳年上のお姉さん。
法人向けの保険営業マンとして働いており、転職をいつも意識しているそうな。
日常的に転職サイトで情報をチェックし、年に何回かはヘッドハンターに会って条件を聞いていると。
彼女は33歳にして年収1500万。
独身なのにマンションを購入(しかも現金一括で)
将来は50歳でリタイアして株式投資の配当で暮らすのが目標らしい(夢ではなく現実的に)
看護師の価値観は変?
とある日、上記の3人で飲むことになった。(私、看護師の同期、キャリアウーマンとの友人)
同期が悩みに悩んでいて、こんなキャリアウーマンがいるよと話したら「ぜひ会いたい」とのことで。
お互いの自己紹介から始まり、生活の話、恋愛、そして仕事のことに。
キャリアウーマンの友人は独自の仕事観を語った。
「転職する気が無くても求人は見る」
「選択肢を常に持っておきたい」
「だって嫌な人と仕事するの嫌じゃない?」
確かにな、と思った。
しかし私がうなずくのをよそに、同期は彼女の言動を否定した。
「仕事ってそんな簡単に辞めちゃダメじゃないです?」
「迷惑かかるし」
「スキルだって身に付かない」
同期の気持ちも分かる。
いや。むしろ私は同期寄りかもしれない。
看護師の世界は、泥臭いものだし、辛いのが当たり前だし、嫌だから辞めるなんて許されない。
無意識のうちにそう教え込まれ、それを信じてもいる。
もしキャリアウーマンの意見を認めたら、自分の信じている世界が崩れてしまう。
だからこその否定なのだ。
飲み会はそんな議論もあったが全然嫌な雰囲気ではなかった。
むしろ意外なほど楽しく「また来月集まろう」と言って解散した。

突然の退職
2度目の飲み会が開かれた。「また飲もう」というのはある意味社交辞令であり口約束だけかと思いきや、なぜか同期が乗り気だった。
「退職することにした」
ある程度予想はしていたものの、私は同期の言葉にびっくりした。
というのも「来月末まで」というスピード退職だったからだ。
キャリアウーマンの友人は「やったじゃんw」と笑っていた。
「パワハラさえ我慢すればいい職場だと思う」
「ここまで育ててもらったし、仲の良い人もいるし、仕事はそんなに苦じゃないし」
「けどやっぱり、どうしても嫌だから辞めることにした!」
「良いか悪いか分かんないけど、とりあえずねw」
同期は気の抜けた良い笑顔をしていた。
「その感じは大事だよ」
キャリアウーマンはそう言って楽しそうにお酒をがぶ飲みしてた。
私もそう思った。
医師が辞めるか、自分が異動できるまで待つか。
同期のパワハラは、自分で解決できない問題だった。
しかし「職場を辞める」という選択肢を持つことで、自分の意志でコントロールできる問題になった。
この違いは大きいと思う。
他人に変えてもらうのか、自分で変えていくのか。
人間は自分の意志で環境をコントロールできないと、やる気を失っていく(学習性無力感)
「何をやっても無駄だ」と、うつ病にも似た無力感を感じるようになる。
同期のパワハラはまさにこの状態だったと思う。

※一時期マジで入院してた同期
パワハラの解決法
パワハラを回避するには「自分でコントロールできる解決法」ことが大切なんだと思う。例えば、自分の意志でいつでも辞められる人は、パワハラやいじめを受けても「こんなアホみたいな職場こっちから辞めてやる」と行動できる。
でもそうじゃない人は、「今以上の病院に再就職するのは難しい」と、どんなに苦しくても耐えるだけになる。
結婚も同じ。
「離婚したいけど、食べていけない、だから我慢する」と考える人は、一生辛い思いをする。
でも「一人で稼げるから大丈夫」と考える人は、自分らしい道を選ぶことができる。
学校のいじめも同じ。
「この学校しかない」状態であれば、いじめに耐えるか、登校拒否しかない。
でも「この学校じゃなくても、他にも道はある」状態であれば、立ち直れる可能性は遥かに大きい。
それにいじめの加害者の中には「いじめたくないけど、私まで狙われる」と断れない子もいるだろう。
「友達なんて他にもいる、この学校以外にも居場所はある」と思える人は、断れる。
けどこれって子供の頃は分からない。
学校が全てだから。
狭い目線でしか見れない。
社会人になり、外に出て初めて「他にいくらでも選択肢があった」と分かってくる。
しかし社会人になっても同じ間違いを犯す。
同期のように。
けど同期はその間違いに気が付いた。
「別にこの病院じゃなくてもいい」
辞められる強さ
「強い人は辞めることを恐れない」辞めることを恐れないから、どんどん新しい道に進み、どんどん新しい経験をして、どんどん新しい知識を吸収する。
この合理性が強者をさらに強くする。
医療現場でも、尊敬できるようなすごい医師や看護師は、たいていいくつもの職場を経験している。
そうした強い人たちは、辞めることで強くなる。
しかし無鉄砲に辞めるわけではない。
計画的に辞められるよう、事前に準備をしている。
自分に合わない、身に付くものがない、生理的に向いてない。
運悪くこういった職場に入った時のために、求人を定期的に見ていたり、自分の市場価値をチェックしたり、他の病院の情報を仕入れたり。
いつでも自分でコントロールできる状態を常に保っている。
その後
私達は30歳になった。同期はあれから何度か転職し、今は東京の総合病院で主任をしている。
なんと彼女は来年結婚予定だ(おめでとう!)
私はといえば、同期がパワハラを受けた病棟に異動し、同じようにパワハラを受けた!(汗)
びっくりするくらい酷いパワハラだった。
同期の気持ちがよく分かった。
無力感というか、絶望さえも感じた。
こんなのを長期間耐えていたらうつにもなる・・・。
しかし同期やキャリアウーマンからの忠告もあり、異動から2か月後に辞めてやった。
今は地元に戻り、地域の中核病院で主任をしている。
結婚する予定は・・・ない。

※同期の新居。お洒落すぎてヤバい!
今になって思うこと
看護師は「いつでも辞められる」職業だと思う。仕事はすぐに見つかるし、食いっぱぐれは無いし、転職して色々な職場を経験することが評価にもつながる。
辞めることへの不安は少ない。
そういえば若かりし頃に看護師の道を選んだのは、そうした「将来の不安が少ない、安定した仕事」だったからのような気がする。
ただし辞める時は、計画性が大切だ。
強い人達は事前の情報取集を怠らない。
常にアンテナを張り、求人を定期的にチェックし、どんな職場があり、どんな待遇なのか、自分が求められているはどんな職場か、自分にはどんな価値があるか。
転職する気が無くても、転職サイトに登録したり、転職エージェントに会ったりと事前準備している。
いつでも辞められるように。
私も日常的に求人を見るようになった。
2度転職しているが、まずまず幸せな人生を歩んでいると思う。

※台湾旅行は年2回行ってる!
追記(2019年)
「求人はどこで探すのがいい?」とFacebookで質問があったのでお答えしたい。求人探しと言えば「ハローワークか求人サイトどっちにしようか」と考えるのが普通だと思う。
でも私はチョットした理由でサポートが充実した転職サイトを利用している。
紹介される求人はやはり条件が良いものが多いし、「転職は入ってみなきゃわからないギャンブル」と言われているが、事前に内情を詳しく教えてくれるのも良い。
それとは別に、もし不採用になった時はその理由を聞き出してくれたりもする。
とはいえ、サービス充実系の転職サイトのデメリットと言えば、やはり「求人の押し付け」である。
しかしそれは転職サイトによる。
例えば大手の転職サイトであれば「気長に探してくれる」ため、そういったことをイチイチ気にせずに利用できるメリットがある。
具体的に、私が3つほど利用した転職サイトの中では、「ナース人材バンク」が一番良かった。
良い求人が多かったし、希望すればカウンセリングで年収診断などもやってくれる。
スタッフの人がとても親切だったのも印象に残っている。
スマホで日常的に求人を見るにもぴったりだった。
私が2度転職したのは、どちらも「ナース人材バンク」から。
どちらの病院も良かったし、今の病院も満足している。
ちなみに「ナース人材バンク」は同期からオススメされた。
別に「ナース人材バンク」を押すわけではないが、使ってみて「確かにここなら失敗は少ないだろうな」と思った。
パワハラで悩んでいるなら、登録だけして求人を見てみることをお勧めする。
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